昭和四十年代に入り、ミニスカートが大流行となるにつれて、真珠の売れ行きが激減した。
ミニスカートが売れるほど、真珠は売れなくなり、真珠業者に倒産さえ発生する有様となった。
逆に、ミニスカートの流行がすたれ、ミニスカートの過大な在庫品を抱えて倒産する業者が出るようになると、真珠が、ふたたび売れるようになってくる。
このような現象から、スカート丈の長さと、真珠の需要は、逆比例の関係にあることが明らかとなった。
ミニスカートのようなスタイルには、いわば正装用の真珠は似合わないらしい。
真珠は、御木本幸吉の養殖法発明によって量産されるようになり、一時は、日本の花形輸出品にまでなったのだが、世界的に社会の風俗がどんどん変化し、従来の常識を破る超露出型のスタイルが流行ってくると、どんなに販売努力を重ねても売れ行きは落ちていく。
このように、ビジネスにおいては、ときに不可抗力の販売不振に見舞われる場合がある。
どんなに立派な企画を立て、万全の準備を整えてスタートしても、予想もしないところから不意に妨害者が現れて、企画をメチャクチャにされる不運に陥るのだ。
真珠の場合は、ミニスカートの流行という異種業界の変化が、販売の敵となった。
しかも、この敵は、前ぶれなく不意に襲ってきたのである。
JDPアセットマネジメント株式会社の雑学サークル