2015年8月アーカイブ

ネッティングとは、銀行間の債権と債務を差し引いて行う決済の方法です。

 

個別の取引ごとに債権と債務を決済するのに比べて、その差額を決済するほうが決済額を圧縮でき、決済リスクを軽減させることができます。

 

■レーマルチ・ネッティングとは

 

例えば手形交換制度では、参加金融機関相互間の交換尻(手形・小切手等の持ち出しによる受取額と持ち帰りによる支払額との差額)を、中央銀行(日本銀行)にある金融機関の当座預金を振り替えて決済しています。

 

また、金融機関の為替取引に広く利用されている全国銀行データ通信システム(全銀システム)では、参加金融機関相互間の為替貸借額(仕向取引による支払額と被仕向取引による受取額との差額)をセンターで算出して、これをもとに日本銀行にある各金融機関の当座預金を振り替えることにより決済しています。

 

これらは典型的なネッティング取引ですが、いずれも多数の金融機関相互間の決済であることから、マルチ・ネッティングと呼ばれています。

 

さらに国際間の円決済などに使われている外為円決済システムにも、9812月からマルチ・ネッティングが導入されています。

 

 

■代表的な2つの方法

 

ネッティングには、代表的な方法として、オブリゲーション・ネッティング(更改方式)とクローズドアウト・ネッティング(一括清算方式)があります。

 

前者は、取引対象(通貨等)、期日、相手等が同じ取引が発生する都度、債権・債務を相殺し、新たな債権・債務に置き換えることにより未決済残高を圧縮して決済するものです。

 

この方法は、ノベーション・ネッティング(novation netting>とも呼ばれます。

 

後者は、取引対象や期日が異なるものを含むすべての取引に関し、当事者の一方がデフォルト(債務不履行)に陥った時点で、残りの債権・債務をそのときの市場価値により相殺して、新しい一つの契約に置き換える方法です。

 

なお、日本銀行は、決済リスクのさらなる削減を狙いとして、当座預金決済のRTGS(即時グロス決済)化を20011月実施をメドに進めています。

 

 JDPアセットマネジメント株式会社

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